ブックタイトルHealth Management for Female Athletes
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Health Management for Female Athletes
7- 3無月経アスリートにおける食事の注意点a.女性アスリートの三主徴と相対的エネルギー不足前述のとおりアメリカスポーツ医学会が2007年に発表した「女性アスリートの三主徴に関するポジションスタンドでは,「摂食障害の有無によらない利用可能エネルギー不足(以下エネルギー不足)が視床下部性無月経の原因」であるとしています42).また,無月経にともなう低エストロゲン状態が低骨量をもたらし,この状態で繰り返し骨にストレスがかかると疲労骨折のリスクを高めるとしています61).エネルギー不足とは,「総エネルギー摂取量から運動によるエネルギー消費量を差し引いた値」で生体の機能のために利用するエネルギー量ということになります.つまり,エネルギー不足は生体機能維持のためのエネルギー量が不足している状態です.利用可能エネルギーが,体重から脂肪組織の重量を差し引いた除脂肪体重(FFM:Fat Free Mass)1kgあたり30kcal/日未満の状態になると黄体化ホルモン(LH)の周期的な分泌が乱れ月経周期異常につながることが報告されています42).アメリカスポーツ医学会では女性アスリートの三主徴のスクリーニングのために11の質問項目を挙げており(表17),競技スポーツの開始前に評価することを勧めています.特に,思春期の女性アスリートでは早めに三主徴をスクリーニングし対処することが大切です42).また,国際オリンピック委員会では,女性アスリートの三主徴をより広くとらえた概念として,総エネルギー消費量に見合ったエネルギー摂取量が少ない負のエネルギーバランス状態を,「スポーツにおける相対的なエネルギー不足(RED-S:Relative Energy Deficiency in Sport)」とし,内分泌系,代謝,免疫機能,胃腸系,心血管系,成長,メンタルなど,女性アスリートのみならず男性アスリートの健康にも影響を及ぼすことを示しています47).これらの点からも,消費エネルギー量に見合った摂取エネルギー量を毎日の食事からとることが,女性アスリートの無月経の改善においてはポイントとなると考えられます.108