ブックタイトルHealth Management for Female Athletes
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Health Management for Female Athletes
8 - 2産婦人科領域:禁止物質を含む薬剤a.抗エストロゲン薬排卵誘発剤であるクロミフェン,シクロフェニルは,主に排卵障害による不妊症の治療薬として用いられる薬剤です.これらは抗エストロゲン作用をもち,結果的に脳の下垂体からFSHとLHを継続的に分泌させ蛋白同化作用を示す男性ホルモンの産生が増加することから,禁止物質に含まれています.b.ダナゾール今日使用される機会は少なくなっていますが,子宮内膜症の治療薬として使用され,強い男性ホルモン作用があることから禁止物質となっています.c.選択的エストロゲン受容体モジュレター(SERM:Selective EstrogenReceptor Modulator)SERMは,骨粗鬆症や乳がんの治療薬として用いられています.体内のホルモンバランスを相対的に男性ホルモン産生へ傾けるため禁止物質に含まれています.d.女性・男性ホルモン配合薬更年期障害,骨粗鬆症,卵巣欠乏症状などで使用される薬剤ですが,男性ホルモンを含むため禁止物質となっています.e.漢方薬月経痛,月経前症候群,月経不順,不妊症,更年期障害などの治療として,産婦人科で広く処方される薬剤です.しかし,漢方薬は動植物や天然物由来であり含まれているすべての物質を明らかにできないため,禁止物質が含まれていないという保証ができないという問題点があります.このため,アスリートでは漢方薬の使用は勧められません.経験的に大丈夫な漢方薬もありますが,麻黄,麻子仁,半夏においては極微量ですが,明らかに禁止物質を含んでいます.139