ブックタイトルHealth Management for Female Athletes
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Health Management for Female Athletes
3.練習や試合日程を考慮した月経周期の調節法多くの女性アスリートは月経困難症や月経前症候群,月経周期に伴う主観的コンディションの変化など,女性特有のさまざまな問題を抱えています.これらの問題に対する対策法は疾患ごとに異なりますが,アスリートにおいては常に試合や練習日程に合わせた「月経周期の調節(月経をずらす)」も念頭に置く必要があります.また,一般女性と異なり,アスリートでは使用する薬剤がドーピング禁止物質を含んでいないか必ず確認する必要があり,一般女性で使用される薬剤が使えないケースもあります.婦人科で使用される機会が多い薬剤はホルモン剤です.アスリートやコーチがこのホルモン剤に対し最も懸念することは「体重増加」であり,「ホルモン剤=太る薬」という認識を持っているアスリートやコーチは多いでしょう.ホルモン剤のうち,婦人科で使用される機会が多い低用量ピルは,正式には経口避妊薬(Oral Contraceptives:OC)・低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(Low-dose Estrogen Progestin配合薬:LEP)と呼ばれており,「OC・LEP(オーシー・レップ)」と略して使われるようになっています.近年さまざまな種類が認可されており,体重が増えにくい低用量ピルも経験的にわかっています.しかし,体重が増加しにくい低用量ピルにおいても,減量競技においては体重の落ちにくさが問題となるケースもあり,低体重を求められる競技においては特に服用後の体重を慎重にみていく必要があります.また,より体重管理に影響を与えないホルモン療法として,低用量ピル以外の薬剤である「プロゲスチン製剤」を用いた月経対策を試みています.低用量ピルやプロゲスチン製剤についての詳細はp42 ? p50を参考にしてください.この章では,試合や練習日程を考慮した月経周期調節の具体的な方法について紹介していきます.31