小笠原 歩さん


 公益社団法人日本カーリング協会 ジュニアナショナルコーチ

 カーリング日本代表として、3度のオリンピックに出場。2009年に第1子を妊娠・出産後、現役復帰した。2014年ソチオリンピックでは、5位入賞を果たしている。2019年より日本オリンピック委員会専任コーチングディレクター(ジュニア担当)として、ジュニアの育成・強化に従事し、2020年にローザンヌで開催されたユースオリンピックにおいて、銀メダルを獲得した。

1.コーチを始めたきっかけ

 きっかけは、当協会強化委員長より話を頂いたことから始まります。私が競技人生で培った時間が、次世代選手の夢や人生に活かされることは幸せなことです。同時に、カーリング競技の発展に繋がる次世代の強化に携わる、という重責を担っている覚悟を持っています。


2.コーチング哲学

 私はコーチングをするにあたり、「自ら考えられる選手を育てること」を心掛けています。カーリング競技は、試合が始まると、選手とコーチの接触は、ハーフタイムと一度のタイムアウトの時のみになります。それ以外、コーチは指示やサインを出すことが出来ません。そのため、選手たちは試合中、自分たちで状況を分析し、作戦を考え、最善のショット選択をすることになります。ジュニアの時期に大切なことは、その能力を養うための考える力です。自分たちで考えるという習慣を根付かせていくことが重要です。試合後には私から選手に沢山の「なぜ」が投げかけられます。その選択が最善ではなかったとしても、私は、まず考えたことに対して評価しています。私には当たり前の選択だったとしても、ジュニア選手にとって今は成長段階ですから、そこに目線を落とすことを意識しています。正しい答えではなく、選択までの方法を教えることが、自ら考えられる選手の育成に繋がっていくと考えています。
 最後に、私はコーチとして活動を開始して、一年も経っていません。本来、このようなセミナーでは、聴講する立場だと思っています。今後も「学ぶこと」を止めることなく、選手とともに成長していきます。

 

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