日本スポーツ振興センター(JSC)が設置するハイパフォーマンススポーツセンター(HPSC)では、「ハイパフォーマンス統括人材の育成支援」のためのプログラム開発を行っています。この取り組みは、2016年10月にスポーツ庁で策定された「競技力強化のための今後の支援方針(鈴木プラン)」に基づいて運営されています。
ハイパフォーマンス統括人材の育成支援事業
本事業は国際大会における安定的かつ持続的なメダル獲得の実現に向け、各中央競技団体(NF)の競技力強化を支援すべく、ハイパフォーマンスディレクター及びワールドクラスコーチ(総称してハイパフォーマンス統括人材)の育成プログラム開発を目指すとともに、各競技団体が推薦した受講生に対する育成プログラムのトライアル実施を通して、プログラムの品質・成果を評価・検証します。
トライアルプログラムを通し、受講生はハイパフォーマンス統括人材として必要なスキルを2年間かけ身につける過程で、NFが抱える課題と解決策を考案、ブラッシュアップを重ねます。こうして得られたプランは将来NFの強化活動に生かされることが期待されます。2018年から実施し始めた本プログラムは、現在2期生12名がプログラムを受講しています。
【2期生】第6回国内集合研修
その2期生のプログラムも後半を迎え、9月24日(木)~25日(金)の2日間に渡り、第6回国内集合研修を実施しました。今回は新型コロナウィルス感染予防対策を取りながら、受講生12名中8名が集合研修、4名がオンラインでの参加となりました。オンライン上でも有意義なディスカッションをすることができ、柔軟な体制でプログラム運営ができたことは、私達にとっても非常に大きな成果となりました。
(研修の様子:オンライン参加者ともコミュニケーションを取り、研修を実施することができました)
「業務遂行」をテーマとした今回の研修は、1日目は業務での実践力を高める「プロジェクトマネジメント」、2日目は経済的視点からも業務遂行ができるよう「ファイナンス」に焦点を絞り、研修を行いました。
初日は、紙コップと竹串を使い高さを競う「タワー・ゲーム」を初めに行い、プロジェクトマネジメントの疑似体験をする研修からスタートしました。チーム内で知恵を出し合い1位を目指す過程から、プロジェクトは身近なものであることを学びました。講義の中でプロジェクトマネジメントの型を学び、実際に自身の競技団体に当てはめ計画書を作成することで、業務遂行の効率化と確実性を高めるスキルを身につけることができたのではないかと思います。
ファイナンスをテーマに行われた2日目は、競技団体の視点からでも財務・会計の数字が組み取れるようファイナンスの基礎知識を学び、所属する競技団体の損益計算書・貸借対照表を作成しました。作成した資料を競技団体間で比較することにより、財務数字から見た課題点を洗い出すことができました。また課題点を踏まえたうえで、収益を伸ばす為の仕組みを考えることで、単なる数字の羅列ではなく意味を読み取ることができ、ファイナンス視点での事業計画を作成する力を養うことができました。
こうしたビジネススキルも競技団体を運営し、競技力強化を目指すためには必要な要素です。これらの要素をより多くの場面でご活用いただけるよう、引き続きプログラムの検証を行っていきます。
次回の国内集合研修は、12月初旬に開催します。3月に行われる最終プレゼンテーションに向け、実りのある研修プログラムを開発できるよう準備を進めて参ります。
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