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host
2019/05/28 9:44
石橋彩、山辺芳、谷中拓哉、北村隆、河野孝典、石毛勇介、髙橋英幸
ノルディック複合(コンバインド)競技は、スキージャンプ(ジャンプ)と起伏のある5~15kmにコースをポールとスキー板で滑走するクロスカントリースキー(クロカン)の2種目の結果で勝敗が決まります。コンバインドの試合では、前半にジャンプを、その後1~3時間の間隔を空けて後半にクロカンを実施します。また、主要国際大会は2~3日間連続で試合が行われることが多く、連日の試合で高いパフォーマンスを発揮するためには、前日の試合で生じた疲労を速やかに回復させることが必要不可欠となります。
クロカンのような持久性競技においては、骨格筋に含まれるグリコーゲン(運動時のエネルギー源)が枯渇することにより、パフォーマンスが低下することが知られています。以上のことから、連戦等による疲労回復を早めるために、筋グリコーゲンをより早く回復させることを目的とした栄養補給計画の立案が課題として挙げられました。
コンバインド選手におけるクロカンのレースでは上肢、下肢ともに多くのエネルギーを消費しているものと推測されますが、コンバインド選手を対象にクロカンを行った際の両部位の筋グリコーゲンの変化を検討した報告はありません。
そこで、私たちは、この課題を明らかにするためにコンバインド男子選手6名を対象とし、コンバインド競技におけるクロカンのレースを想定した運動が、腕と脚のどちらの筋グリコーゲンを減少させるのかを測定しました。運動は、国立スポーツ科学センターにある大型トレッドミルを用いて、24分間のレース(10km相当)を想定したローラースキーを行 いました(図1)。
図1 大型トレッドミルでの運動の様子
運動前後の筋グリコーゲンは、磁気共鳴画像装置(MRI)を用いて、炭素磁気共鳴分光法により測定しました。また測定部位は、右腕(上腕三頭筋)および右脚(中間広筋、外側広筋)でした(図2)。
図2 測定部位 上腕三頭筋(左)と中間広筋、外側広筋(右)
結果、運動後の筋グリコーゲンは両部位(腕、脚)で減少していることが明らかとなりま した。さらに、その減少の程度は、平均値においては腕においてより大きいことが認められ ました。今回対象とした選手の6名中5名は、腕の筋グリコーゲンの減少率が脚と比較して高い一方、C選手では脚の方が大きく、その変化の程度にも個人差が認められました(図3)。
これは、選手個人の滑り方の違いが影響していると考えています。今回の研究結果を もとに、現在は腕の筋グリコーゲンを翌朝までに回復させるための戦略的な食事内容を検討しています。
図3 腕(A)および脚(B)における筋グリコーゲンの変化率(%)の個人データおよび平均値
参考文献:トレーニング科学、スキー・コンバインドナショナルチーム選手のレースを想定した滑走運動が上腕三頭筋および大腿筋のグリコーゲン含有量に及ぼす影響
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