10年目を迎えた「スポーツ文化」事業~秩父宮記念スポーツ博物館~
スポーツ文化 第7号表紙
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2011年秋に発足した「スポーツ文化調査研究事業」は、10年目を迎えました。
「スポーツを人文科学的な『文化』としてとらえて研究することも必要ではないか」という趣旨で発足したこの事業は、「調査研究協力者会議」の委員の諸先生方の導きのもとに、ほぼ年1回の「スポーツ文化」誌の発行と、これまでに2回のシンポジウムを開催して、今日に至っています。
今回発行の「スポーツ文化」第7号の特集は「子どもとスポーツ」。
昨年シンガポールで第1回大会が開催されたユースオリンピックは、14歳~18歳というヤングアダルト層に対象をしぼって「オリンピックの原点回帰」を目指したユニークな試みで、大きな成功を収めましたが、日本では、ほとんどマスコミに取り上げられませんでした。
「子どもへの働きかけ」に重点を置いたこの大会は、未来の日本のスポーツに対する大きなヒントを秘めているのではないかということから座談会を開催し、小野理事長のほか、日本選手団総監督を務めた福井烈さんやアテネ五輪の体操で活躍した米田功さん、バレーボールの荒木田裕子さんなどのアスリートたちに、この大会の意義を論じてもらいました。
ほかにも、大江健三郎賞と伊藤整文学賞をダブル受賞した評論家の安藤礼二さんをはじめとする多彩な面々から、子どもとスポーツをめぐるさまざまな考察を御寄稿いただくことができました。
この特集では、「スポーツや遊びが子どもの心のケアにどれだけ有効か」という主張の記事が集まりましたが、スポーツによる心のケアは、大人や老人にとっても、大きな効果を持っています。たとえば、3月11日に発生した東日本大震災のような災害で、ライフラインが確保された段階で直ちに問題となるのは「心のケア」です。この特集には、少し見方を変えれば、そのために役に立つものが含まれていると思います。
スポーツが復興のための大きな力になることを念じてやみません。
「スポーツ文化」は博物館で無償配布中です。郵送を御希望の方は博物館にお問い合わせください。(要送料実費)
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