In 国立スポーツ科学センター・西が丘サッカー場
国立競技場では10月25日に、平成23年度第8回スポーツターフ維持管理研修会を、国立スポーツ科学センター(以下「JISS」という。)・西が丘サッカー場にて開催しました。例年、芝生の更新作業が落ち着いた6月頃に開催していますが、今年度は3月の東日本大震災の関係で10月の開催となりました。
この研修会は、スポーツターフ調査研究事業の一環として関東近県のスタジアムを対象に、スポーツターフ管理者の育成及び資質向上を図ることを目的とし、今年度は14施設、29名の参加を得て行われました。
ディスカッション
【テーマⅠ】
芝生維持管理に関する問題点
ディスカッションの様子
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各県の環境や利用状況の違いにより、芝生の生育状況は大きく異なります。そこで、各スタジアムの芝生維持管理方法の事例を挙げていただき、環境に合わせた草種の選定や養生期間の設定など、問題解決のために工夫して得た情報の交換が行われました。
夏は35度を超え、冬は氷点下14度まで気温が下がるような、寒暖の差が激しい中での管理をしており、毎年変わる気候の変化に対応できるよう、実験的に様々な草種を育成し、その年にあった芝生を育てるなど、各スタジアムで試行錯誤している点を挙げていただき議論が展開されました。
【テーマⅡ】
スポーツ競技及びイベント利用における問題点
サッカー・ラグビー・陸上競技会開催における、各スタジアムの課題について意見交換を行いました。
参加施設の多くは指定管理者として芝生管理に携わっている方で、サッカーや陸上のみならず、野球場や多目的広場など複数の会場を管理しているため、芝生の管理時間の調整が一番の課題となっているようです。
参加者の中には、年間の試合数が多い時で300試合を超える、非常にタイトなスケジュールの中で管理を行っているなど、各スタジアムにおける課題が多く挙げられました。その中でも、人数を増やせない代わりに、機械を増やし、また性能を充実化することで、管理時間を短縮する努力をするなど、スタジアムの事例も挙げられ、活発な議論が展開されました。
【施設見学】
ディスカッション終了後は、会場となったJISS・西が丘サッカー場の施設見学を行いました。
サッカー場のグラウンドでは、大会利用で傷んでいる箇所など、芝生の状態を熱心に確認する姿が見られました。
その後、JISSへ移動し、シンクロナイズドスイミングプールやボート・カヌー実験場などを見学しました。普段立入ることの出来ない施設とあって、良い刺激となったとの意見を聞くことができました。
今回の研修会は、以前から参加者の要望が多かったディスカッション形式で行いました。
日頃抱えている課題や問題などを各スタジアムで共有することで、維持管理に関するヒントや解決策が見えてくることもあり、各スタジアムの管理状況や運営方法などを知る良いきっかけとなり、参加者からはとても有意義な時間となったとの意見を聞くことができました。
今後も研修会を通し、各スタジアムの情報交換の場となるよう努めたいと思います。
芝生の状態を確認する参加者 |
屋上から施設全体の説明を受ける |
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