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投稿者:
host
2011/05/25 0:00
日本スポーツ振興センター 総務部経営企画室 専門職
2004年10月~2010年3月 JISS 運営部 運営調整課
同 NTC設置準備室
“connecting the dots・・・” (the Commencement address delivered by Steve Jobs on June 12, 2005)
JISS在籍時の事を書くにあたって、まずこの言葉が頭に浮かんできました。在籍した5年余り、今振り返ると様々なことが繋がっていたと改めて思い、そして、そのように思えることはとても恵まれたことだったと思います。 私のJISSでの経験、感じたことから、一人でも多くの方にJISSで働くことに興味を持っていただけたら幸いです。
JISSに関する話題の前に、JISSの母体である「 独立行政法人日本スポーツ振興センター」での経歴についてお話したいと思います。
私は、2003年4月日本スポーツ振興センターに事務職員として採用されました。スポーツ振興くじtotoを運営・販売するスポーツ振興事業部に配属され、その1年半後にJISSへ。2010年4月に総務部企画調整課に異動し、現在は、2011年4月に新設された総務部経営企画室に所属しております。
経営企画室は、JISSを含めた日本スポーツ振興センター全体の運営方針の策定や日本スポーツ振興センター内外に向けての広報活動等を担当する部署で、最近では政府の行う「事業仕分け」の対応窓口にもなりました。私も仕分け会場には数度足を運び、その雰囲気について学ばせていただきました。ご承知のとおり独立行政法人を取り巻く状況は非常に厳しく、実施している事業に対し常に説明責任を果たすことが求められます。そのような状況の中、経営企画室では、事業仕分けのみならず日々多くの資料要求にも対応しています。他にも、2010年8月に文部科学省により決定された「スポーツ立国戦略」の対応等、今後日本スポーツ振興センターが日本のスポーツ界で果たすべき役割についての検討もしています。
日本スポーツ振興センターの業務については第2回の田上友美子さんの回にも記載されていますが、非常に守備範囲の広い組織だと感じています。
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JISSで活躍されている研究員の方々と(2006年)
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それでは、JISSに関する話題に入りたいと思います。
JISSで勤務をしたことがない方々にとってJISSはどのようなイメージでしょうか。「有名な選手がいて華やか」「若いスタッフが多く活気がある」「高度な研究をしていて知的な雰囲気がある」・・・私は、そのようなイメージを抱いていました。そして、どれも当てはまっていたと思います。
しかし、JISSでの日々は、イメージしていたような華やかさだけではありません。もちろんそれまでTVでしか見たことのないような選手と会うことも多くあり、思わずテンションがあがることも多くあります。とはいえ、私たち職員は、ただ見学に来ているわけではなく、業務としてそこに存在しているので、感情をコントロールし、理性で行動できなければなりません。そのような意味で、距離感というか、選手やコーチといった関係者との適度なコミュニケーションをすることで、関係者の皆さんに気持ちよくJISSを利用していただくことが重要だと感じました。
また、テレビに向かって「がんばれ!」と思う気持ちの” 重さ”が変わったことも、JISSでの勤務を通じて感じたことです。一見華やかな選手がそれこそ必死の形相でトレーニングをしていること、それを支えるコーチ・スタッフ、さらにそれを支援するJISS研究員、あるいは、施設を警備・管理する方々、そして事務のスタッフ等々。もちろん私たちが選手の活躍に感動するのは、選手が一人の人間として素晴らしいパフォーマンスをしていることに他なりませんが、JISSで勤務し多くの方々と接する中で、活躍する選手のその奥に見える方たちにも併せて声援を送るようになりました。
いずれにしても、緊張感の中にある楽しさのように、多面的な雰囲気がJISSの魅力だと思います。
次に私が経験させていただいた仕事についてお話させていただきます。JISSでは、幅広い業務を経験させていただきました。まず運営調整課においてJISSの総務、人事、広報、企画全般に関わることができたほか、2005年から2年間、「ナショナルトレーニングセンター設置準備室」在籍時には、現在の味の素ナショナルトレーニングセンターの敷地が更地だった頃から、その構想の検討や建設過程に関わることができ、まさにゼロから携われるやりがいを感じましたし、またそこでしか味わえない困難も経験しました。
このような「通ったことのない道に轍を作る」という意味では、「日本スポーツ振興センターロンドン事務所」の設置も非常に心に残る仕事でした。
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JSPSLondonの皆さんと。右から2人目が古川佑子
所長、左から2人目が関口副所長(当時)。 |
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第1回の阿部篤志さんの回にも記載されているとおり、スポーツの分野における情報戦略の重要性は非常に高いものとなっています。ロンドン事務所は2012年夏に開催されるロンドン五輪に向け、日本のスポーツ界が一丸となって選手、コーチをサポートするため、現地でしか入手の出来ない情報等を提供する拠点ですが、私が関わり始めた2008年秋は、このような考え方に基づく事務所を作るということ、そして、海外に事務所を作るという前例がなかったため、すべてが手探りの状態からの検討でした。例えば、事務所の機能には何が求められるのか、どの程度の部屋が必要なのか、ロンドンのどこに設置するのか、どうやって事務所の契約をするのか等々。しかもそこには日本と英国との文化の違いという壁も。2009年3月、いよいよ事務所設置作業を本格的に進めるため、第1陣としてHeathrow空港に降りたときに感じた高揚感、そして不安の大きさは今でも忘れられません。現地では、在英国日本国大使館やすでに英国に事務所を構えていた他の独立行政法人、さらには現地で活躍している弁護士法人等の支えもあり、多くの困難はあったものの業務を遂行することができました。特に、独立行政法人日本学術振興会(JSPS)ロンドン研究連絡センターの方々には、当方の事務所が無い頃、事務所の一席をご提供いただき、また多くのアドバイスをいただくなど多大なご協力をいただきました(JSPSLondonニュースレター(p29参照))。
現在、ロンドン事務所は後に続く方々の尽力により、大きく発展しております。2012年ロンドン五輪本番に向けて更に関係者の方に積極的に活用していただき、好成績につながることが期待されています。
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CAR(スペイン)、CNMM(カナダ)の
責任者たちと有楽町にて |
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もうひとつ、海外の方との交流も記憶に残る仕事でした。
JISSには海外からも多くの研究員が訪れ、JISS研究員やスタッフと情報交換等を行っております。私も担当者としてアテンドさせていただく機会が何度かありましたが、特に思い出に残っているのは、2005年春の各国(フランス、スペイン、カナダ)のスポーツ研究施設のトップクラスの役職の方々のアテンドです。
空港での出迎えをはじめとして、ミーティングへの同行、JISSの施設案内や東京観光まで。今後の良好な関係を築くべく、よい印象を持っていただくためにいろいろと趣向を凝らす日々でした。東京観光では、歌舞伎座への案内や、朝6時からの築地案内、皇居や浅草散策。さらには、ホテルや料亭のようなところではなく、”日本らしい”スタイルの宴席をということで、有楽町ガード下の居酒屋にご案内し、ヤカンに入って出てくる焼酎やマグロ納豆等堪能していただいたこともありました。今でも、当時参加された研究員の方々にその当時の思い出を話していただいたり、プライベートで海外に行った際にも現地でお付き合いをいただいたことを考えると、結果的にいい関係が築けたのではないかと思っています。
以上、ロンドン事務所と海外研究員のアテンド、2つの特に印象に残る経験をお話しましたが、これらは最初に述べた ”connecting the dots” を感じる経験でした。
例えば、ロンドンには、日本スポーツ振興センターに入職する直前、シベリア鉄道を使った大陸横断の途中に訪れており、現在もロンドン事務所や日本のスポーツ界と関係の深いLoughborough大学にも訪問しておりました。その時は、数年後業務として再訪するとは思っていませんでしたし、またそのときに知り合った方ともJISSで一緒に働くことにもなり、不思議な繋がりを感じています。また、海外の方のアテンドを経験することで、語学等自分の現状を認識する機会を得ることになりました。もしその経験がなければ、ロンドン事務所の設置に関連する業務をする機会はなかったと思います。そして現在、これらの経験がさらに次の点に繋がろうとしています。
これらの業務はとてもやりがいのあるものでしたが、それ以外の、その時にはたとえ意義を理解できない仕事であっても、いつか将来何かに必ず繋がっていくものだと思える経験をさせていただきました。
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JISS研究員の皆さんと
こういう交流も貴重でした
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これまでお話ししたとおり、すべての経験が勉強となりました。特に前例のない業務を経験することによって、あきらめずに解決策がどこかにあると信じて道を探すことの意味を教えていただきました。
また、研究員という私たち事務系職員とはある部分で考え方が異なる方たちと仕事をすることにより、今まで自分が持っていなかった物事の見方を学び、視野が広がったとも思っています。その上で、今までの自分の考え方だけで物事をまとめようとするのではなく、さらに踏み込んだ考え方、違う視点からの検討といった「自分がゴールと思っているところから、あと一歩踏み出す」ことを学ぶことができたと思っています。また、研究員の方には、仕事だけでなく、プライベートでも非常に刺激を与えてくれる存在の方も多くおり、そのような方と在籍中に巡り会えたことは非常に幸運でした。
”connecting the dots” という言葉を通じて、私のJISSでの経験、感じたことをお話してきましたが、私がこのような経験をお伝えできるのは、JISSそのものに可能性を広げる多くの機会が溢れていたからだと思います。ただ、その機会を待っているだけでは前には進めません。Planned Happenstance理論にもあるとおりで、仕事がどこかに用意されているのではなく、その都度チャンスだと思うことに全力で向かい合っていくこそがキャリアであり、それは偶然の積み重ねで構築されていくものだと実感しました。多くの機会が素通りしてしまわないよう常にアンテナの感度を高くしている必要があると今でも感じています。
スピーチの中で、もう一部分心に残るフレーズがあります。
”the most important, have the courage to follow your heart and intuition”
是非、皆さん自身がやりたいことを、自分を主人公として実現できるよう願っております。その中の一人でも、その「やりたいこと」の 対象が日本スポーツ振興センター、JISSであり、いつか一緒に働くことができれば幸いです。
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日本スポーツ振興センター同期と国立競技場にて
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