産後について

母乳とミルクどちらで育てたらいいですか

母乳、特に最初に出る初乳には赤ちゃんを感染から守る免疫グロブリンという成分などが含まれています。また母乳を与えることで子宮が収縮し産後の子宮の回復が促進される効果もあります。一方ミルクは、母乳を参考に、赤ちゃんに必要な栄養素を満たすよう作られています。母乳には利点もたくさんありますが、アスリートの復帰時にはタイミングや生活スタイルに応じてどちらか一方だけとこだわらずに与えていくのが良いでしょう。

母乳の保存方法はありますか

トレーニングや合宿などでずっと赤ちゃんと一緒にいられない時は、母乳を搾乳して、冷凍、冷蔵保存しておくことができます。冷凍した母乳は解凍したら再冷凍せず使い切るようにしましょう。冷蔵保存のものは4日のうちに早めに使い切るようにしましょう。

マタニティーブルーって何ですか

産後3~10日前後に起こる心の変化で、気持ちが不安定になったり理由もなく涙が出たりすることがあります。産後のホルモンの急な低下が原因ではないかといわれています。肩の力を抜いて休む時間を作りましょう。自然に戻ることも多いですが、長引く場合もあります。そんなときは産後うつ病の可能性もありますので、助産師や医師に相談してください。

産褥期は精神的に不安定になりやすい時期です。ちょっとしたことでもいつも以上に不安に思ったり、涙が出ることはあるかもしれません。そのような状況が長く続くようであれば、早めに誰かに相談することをお勧めします。不安定な心理状況の中で子育てを行っているので、母親自身の気持ちが大切にされていると感じるような支援があると気持ちが落ち着いていくものです。 (JISS心理グループより)

産後貧血は改善しますか

 産後は薄まっていた血液量は元に戻るため、いわゆるみための貧血は改善します。しかし出産時の出血量が多かったり、もともとが貧血であった場合は貧血が続きます。貧血が長引くと疲れやすさも出て産後の回復に影響しますので、医師の指示を受けながら貧血の治療が必要な場合は継続してください。

産後のアスリートが注意したい栄養素・食品・メニューは何ですか

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産後期は母乳分泌・トレーニング・筋量アップのためにエネルギーを確保します。出産の負担や育児の忙しさから炭水化物中心の食事となり、特に「タンパク質」「ビタミン」「ミネラル」が不足しがちになります。
食事は基本形の主食+主菜+副菜+果物+乳製品を整える事を意識しますが、品数を揃えるのが負担な場合は1皿で主食+主菜+副菜がそろう丼物や麺類で食事をとり、果物や乳製品を間食で食べるのもおすすめです。

【1皿で主食+主菜+副菜がそろうおすすめレシピ】

  1. 豆腐クリームドリア
  2. ナシゴレン
  3. ししゃもチャーハン
  4. タンメン

早く競技復帰したいのですが、出産・子育ての不安がなくなるのはいつ頃でしょうか

子どもを授かるところから子育ては始まり、出産したからといって、不安が全くなくなるわけではありません。子どもの成長を楽しみながらも、そこに迷いや悩みはつきものです。子育てをする中で、自分も母親として成長していきます。大切なのは、子育てを1人で抱え込まず、周囲の意見を聞いてみたり、MANのネットワークを活用してみたり、助けを求めたりし、子どもの成長を共に見守ってくれる仲間を作っていくことです。 (JISS心理グループより)

競技復帰のために子どもと多く関わることができないと、子どもの成長に何か影響はあるのでしょうか

母子関係は子どもが成長していく上では大事なことですし、長期間離れることに不安を感じることは当然のことです。しかし、子育ては母親1人だけでするものでもありません。いろいろな人のサポートを得ながら、限られた子どもとの時間を大切に過ごせるようしてください。子どもの成長は、母親とどれだけ長く一緒にいたかに左右されるものではなく、子どもを“かけがえのない唯一の存在”として、愛情をもって関わっていくことに大きく影響を受けます。 (JISS心理グループより)

トレーニングと子育ての両立にはどんな工夫が必要ですか

子どもとの時間とトレーニングや試合のスケジュール調整等について、競技団体などに申し出なければならないこともあります。ママであるがゆえのお願いを関係者に申し出ることは、“申し訳ない”と感じてしまうかもしれません。しかし、伝えなければ相手には分からないこと、伝えることで実現可能な工夫について考えることができるようになります。一気に解決できずとも、話せそうな関係者をまず見つけ、少しずつ話をしていくことが大切です。 先輩ママアスリートの事例も参考にしてみてください。 (JISS心理グループより)

どれくらいの期間で競技に復帰できますか

勝負の世界において、トレーニングができない、結果が残せないということは当然不安を感じると思います。早期復帰を目指したり、求められることもありますが、産後の身体の回復には個人差があります。動けるからと言って自己判断で練習を再開したり、焦りから無理して身体を動かすと、怪我にもつながります。多くのママアスリートは産後の新しい身体に即した技術や身体づくりをされています。各種専門家との相談や指導の下、新しい身体との付き合い方、技術を得る楽しさを実感しつつ、競技復帰に向けて活動を再開するのが良いでしょう。JISSのHPではトップアスリートの産後 トレーニングに関する事例集を掲載しています。 (JISS心理グループより)

子育てをしながら、練習時間を確保できるのでしょうか

子育てと競技活動とのタイムマネージメントに苦労したという声も聞かれます。ママアスリートの体験談では、限られた練習時間だからこそ、「効率よく練習できるようになった」、「練習と子育ての切り替えを上手できるようになった」という声が多く聞かれます。 先輩ママアスリートの事例も参考にしてみてください。 (JISS心理グループより)

子育てと競技に対する気持ちのバランスは上手くとれますか

子育てと競技活動とのタイムマネージメントは実際に苦労したという声も聞かれます。育児をしていると、どうしても赤ちゃんにばかり目が向いてしまいますが、そういった中でも、できるだけ自分自身の身体や心にも注意を向けるよう工夫しましょう。“疲れ過ぎていないか”“頑張り過ぎていないか”自分自身を振り返る時間を持つことが大切で、そのことがきっかけで少しずつ競技復帰に向けて動き出せるタイミングが探れるようになっていきます。 (JISS心理グループより)

復帰への焦りや不安はどうしたら良いですか

出産も育児も簡単なことではなく、さらにアスリートとしても妊娠前と同じように身体を動かすことはできないため、焦りや不安を感じても当然です。それらを抱えながら、今までのやり方や常識にとらわれず、どのような方法ならやっていけるかを考えることが大事です。1人で抱えこまず、相談できる人を探してみましょう。JISSには各種専門家スタッフ(トレーニング・栄養・心理など)がおり、悩みに応じて相談することができます。詳しくはJISSのHPをご確認ください。 (JISS心理グループより)

  1. 女性アスリート支援プログラム
  2. メディカルセンター 女性アスリート相談窓口
  3. 心理グループ

妊娠や出産に伴ってアスリートらしい身体でなくなっていくことが不安ですが、どうしたらいいでしょうか

母親として求められる身体とアスリートとして求められる身体は真逆です。授乳中は胸が大きくなり、練習や試合前に搾乳しなければ胸が張り、思うように動けない、集中できないということもあります。母乳ケア等含め、産後の身体について婦人科の先生等と相談しながら復帰を目指しましょう。 (JISS心理グループより)

今までやってきたアスリートとしての自分(競技アイデンティティ※)がなくなってしまうのではないかという不安とどう向き合えば良いですか

妊娠をきっかけに今まで当たり前に出来ていたことが出来なくなったり、出産を機に全くフォームが変わってしまったという声は実際に聞かれます。しかし、それをマイナスなこととして捉えるのではなく、また産前の身体に無理に戻そうとするのではなく、産後に得た“新しい身体”に沿ってどう復帰を目指していくかが大事になってきます。まずは産後の“新しい身体”の感覚に耳を傾けてみることから始めると良いかもしれません。 先輩ママアスリートの事例も参考にしてみてください。 (JISS心理グループより)

※競技アイデンティティ:自分はどういう競技者なのか、どういうスポーツ競技者になりたいかなどの主観的意識や感覚、及びスポーツ経験を通して得た自己確認やスポーツに関与することで自分を確認していく心理的態勢。


授乳で苦労したことはありましたか

アスリートからの回答

   ・なるべく絞って冷凍庫に保存し、極力母乳の無い状態でトレーニングするが、時間が経つにつれどんどん溜まっていくし、少しでも子どもの話題が出て子どものことを考えただけで母乳が出てきてしまった。
   ・練習中水分補給のタイミングで搾乳を行っていた。
   ・夫と一年間子育てに専念をするという約束で、産後一年間は競技から離れたので、授乳時期に競技との両立で苦労することはなかった。
   ・授乳中は疲労感があった。

断乳・卒乳のタイミングはいつでしたか

アスリートからの回答

・最終的には復帰する5ヶ月まではあげ続け、2泊までの合宿等は乳腺炎を心配しながら何とか乗り越えた。
   ・4ヶ月で断乳。病院に電話でアドバイスをもらい、胸が張ったら絞るということをして、1週間で終了。
   ・子どもが1歳の時に競技復帰したのでそのタイミングで卒乳した。

断乳・卒乳時、子どもや自分自身に変化はありましたか

アスリートからの回答

子ども
      ・徐々にミルクもあげていたので、すぐにミルクにも慣れて飲み続けてくれた。
      ・1年経っていたので意外とあっさりと卒乳できた。
    ・夜よく眠るようになった。
      ・母乳量と飲む量が合わなくなってきて、母乳が足りなくなってきた時だった。少しミルクも飲ませていたので、切り替えは簡単だった。

自分自身(ママアスリート)
  ・一日何回も授乳していたが、卒乳してすぐは乳腺炎になったり、そのせいで熱が出たりすることが結構続いた。

産後はいつからトレーニングを開始しましたか

※ここに示したのはアスリートの経験談であり、このトレーニングを推奨するものではありません。実際に妊娠期や産後のトレーニングを行う場合は、医師や専門家の指導の下で行うようにしましょう。

荒木絵里香さん(バレーボール)の場合

産後2ヶ月よりウォーキングを開始。

千葉麻美さん(陸上競技)の場合

産後2ヶ月よりジョギングを開始。

本橋麻里さん(カーリング)の場合

産後2週間頃よりトレーニングを開始。

産後は具体的にどのようなトレーニングを行いましたか

※ここに示したのはアスリートの経験談であり、このトレーニングを推奨するものではありません。実際に妊娠期や産後のトレーニングを行う場合は、医師や専門家の指導の下で行うようにしましょう。

荒木絵里香さん(バレーボール)の場合

産前に行っていた臀部のトレーニングを産後も継続していた

ジョギングは5分10分と増やしていって、4か月後に30分ゆっくり走れるようになった。臀部のトレーニングは今も継続しており、出産前より多くやっている。具体的にはチューブを使ったり、リフトアップやランジなどを行った。また、マシンやフリーウエイトを使用したトレーニングは、産後3~4か月後から実施した。チームに合流してからは、ウエイトトレーニングと俊敏性トレーニングを取り入れた。

本橋麻里さん(カーリング)の場合

インナーマッスルを意識したトレーニング

産後2週間頃に復帰に向けたメニューをトレーナーに依頼した。始めは育児の合間に自宅でできる、寝た状態でインナーマッスルを意識して動かすトレーニングが中心だった。産後1ヶ月くらいからは、フィジカルや骨盤チェックなど、パーソナルトレーニングを受けた。自重でインナーマッスルを意識して行う、怪我のリハビリのようなメニューであった。

身体の感覚に変化はありましたか

荒木絵里香さん(バレーボール)の場合

腰に力が入らず、腰が抜けやすい感覚があった

腰は痛くなりやすくなった。産後1年間は腰に力がうまく入らなくて、抜けやすい感覚があった。遠征のときなどは、専用の寝具を持ち歩いて再発しないように気をつけている。トレーニングはできる重さから始めて徐々に増やしていった。

兼松由香さん(ラグビー)の場合

どこに力を入れていいのかわからなくなった

帝王切開での出産でお腹に傷があり、今までできていた腹筋や懸垂は1回もできなくなっていた。何よりショックだったのはどこに力を入れていいのかわからなく、身体の感覚がゼロに戻ってしまい、またラグビーができるのかなという不安があった。

千葉麻美さん(陸上競技)の場合

瞬発的な動作ができなくなってしまった

出産前と同じ動きが出来なくなってしまった。出産により骨盤底筋が緩んでしまい、短距離特有の動きでもある一瞬でバンっと力を入れるような瞬発的な動作ができなくなってしまった。自分の感覚として良くなってきたと感じるまでに2年ほどかかってしまった。

本橋麻里さん(カーリング)の場合

フォームが変わった

出産前の自分の癖で、一部分に負担がかかっていた箇所があった。カーリングフォームも変わった。変化も感じながら楽しみながら今のこの骨盤に合うフォームを探している。フォームの癖やタイミングは変わらなかった。

練習の取り組みに変化はありましたか

アスリートからの回答

・産後、完全に練習量が減ったが、出産前よりよい成績を出せている。
   ・子どもがいるので限られた時間しかない。やはり出産前と比べて練習時間が短縮し、もう少し練習したいと思うところはあった。
   ・この練習量だから怪我をせずに本当に重要なレース前にしっかり戦えた。
   ・子どもができて限られた時間で練習するのは、また年齢的にもちょうど良かったのかなと思う。
   ・練習できる時間は短くなっているはずだが、無駄を省けている気がする。

トレーニングや試合、遠征時はどなたが子どもを見てくれています(いました)か

三星マナミさん(スキーフリースタイル)の場合

   ・夫の実家と自分の実家に預けていた。
   ・遠征時は24時間体制でベビーシッターに同行してもらった。自分の好きなタイミングで雪上トレーニングに行けた。(スポーツ好きで海外生活に慣れている方だったのでうまくいった)

佐藤希望さん(フェンシング)の場合

   ・トレーニング拠点(JISS)には誰も身内で預けられる人は近くにいない状況であったのでJISSの託児室を利用した。
   ・遠征の度に実家の近くで一時保育を利用。試合から帰ってくるとまた実家に迎えに行き練習拠点に戻ってくるという形を取った。
   ・日本の試合会場では両親が見ていてくれる時もあるが、ベビーシッターにお願いして試合に集中できるように体育館の託児施設を利用したこともあった。

千葉麻美さん(陸上競技)の場合

   ・普段は、実家の母が私の家に来てくれて子どもを幼稚園に送り、幼稚園が終わる頃に迎えに行ってくれている。その後、自分が帰宅する頃までずっと子どもの面倒をみてくれている。
   ・遠征時はほとんど実家に預けて行くため、母にみてもらえるのはとても安心するし、気軽にすぐ連絡がとれることも大きな利点で、多少の無理もお願いできるので助かる。

本橋麻里さん(カーリング)の場合

   ・トレーニングの際は、自宅から車で近い距離にある保育所を利用。
   ・夫の実家が自宅から車で比較的近い所にあり、お願いして子ども預かってもらうことがある。最長で3週間預かってもらった。

兼松由香さん(ラグビー)の場合

   ・合宿時は母が毎日電車で通ってくれ、私の自宅で子どもの面倒を見てくれた。

今後どのようなサポート等が必要だと思いますか

千葉麻美さん(陸上競技)の場合

   ・子どもを預ける環境。遠征・試合など何も気にせず帯同できる環境が必要。
   ・私の場合は家族が近くにいて、サポートしてくれる環境にすごく恵まれていたと感じる。1番は子どもを見ていてくれる環境が整っていると練習にも集中できるし、選手としてはありがたい。選手はだいたい午前も午後もトレーニングを行っているため、一日中子どもをみていてくれるような方がいないと難しいと感じる。

佐藤希望さん(フェンシング)の場合

   ・託児室に預けなければならないなど、色々な面で金銭的なサポートが必要。
   ・子どもがいて他の選手との練習時間帯があわせる事が難しいので、臨機応変な対応をしてもらえると良い。

兼松由香さん(ラグビー)の場合

   アスリートには妊娠に関する専門的な知識を知ってほしい(知る場がほしい)。アスリートにとって結婚や出産はマイナスではなくプラスに働くものなので、ポジティブにライフプランを考えてほしい。

赤ちゃんの予防接種はどうしたらいいですか

赤ちゃんが生まれると、病気予防のための予防接種(ワクチン接種)が必要になってきます。赤ちゃんの1ヶ月検診が終わり、生後2ヶ月くらいから予防接種を開始します。母子手帳や自治体から送られてくる案内を参考にスケジュールを立てておくこと、予防接種を行う小児科を事前に探しておくことが必要です。最近は予防接種のスケジュールを管理するためのアプリ等もあるので活用するのも良いと思います。予防接種は色々な考え方があり、接種をしない選択もあるのですが、保育園等によっては指定されたワクチン接種を行っていないと受け入れできない場合があったり、外国に渡航できないこともありますので、託児や遠征先への帯同を考えている場合は予防接種の必要があります。

産後のイベントとして、赤ちゃんの成長を祝う行事は何がありますか

赤ちゃん誕生後は節目に成長を祝う行事があります。準備や予約が必要なこともありますので、ご自身のスケジュールに併せて赤ちゃんの行事の予定を組み込んでおくといいと思います。 

お七夜・・・生後7日目に赤ちゃんの命名書を壁などに張ってお披露目し、これからの健やかな成長を願う行事。産院によっては退院前にお祝い膳を用意してくれるところもある。 

お宮参り・・・生後30日位に、神社に参詣し、氏神様への報告と子の健康と幸福を祈念する行事。赤ちゃんには祝い着を着せ、お参りの他、写真撮影や食事会を行うことが多い。 

お食い初め・・・生後100日位に、お祝い膳を用意し、赤ちゃんが生涯食べ物に困らないよう祈念する行事。行う時期やお祝い膳の整え方は地域によって異なることもあるので、生後2ヶ月くらいの時には祖父母に確認をしてみると良い。 

お誕生日・・・1歳のお誕生日に、「一升餅」を赤ちゃんに背負わせてお祝いする行事。「一升」と「一生」をかけて生涯食べ物に困らないようという意味があるが、地域によって呼び名が違うこともある。 

初節句・・・初めて迎える節句。女児は3月3日、男児は5月5日。ただし、生後すぐに初節句がある場合には翌年に行うことが多い。

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